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第67期王位戦七番勝負第2局

2026年07月19日

南千里店

第67期王位戦七番勝負の開幕局(第1局)は、7月7・8日の両日、愛知県名古屋市の「徳川園」で行われ、先手番となった藤井王位に対し、挑戦者の伊藤二冠が工夫の行き届いた研究と鋭い踏み込みを披露。中盤の難所から一気に抜け出し、藤井王位の猛追を振り切って先制の白星を挙げた。伊藤二冠が三冠奪取へ向けて一歩リードを奪うか、それとも王位が意地を見せるか大きな注目の中で迎えたのが、7月15、16日の両日に行われた、兵庫県神戸市北区の有馬温泉「中の坊瑞苑」が舞台の第2局。この地は1400年の歴史を誇る名湯であり、藤井王位にとってはかつて「永世王位」の資格を獲得した極めて縁の深い舞台でもあります。

立会人に福崎文吾九段、副立会人に山崎隆之九段を迎え、午前9時に始まった対局は、伊藤二冠の先手番。伊藤二冠が初手▲2六歩を突き出すと、後手の藤井王位もすぐさま△8四歩と返し、戦型は事前の予想通り現代将棋の最先端を行く「相掛かり」へと進展した。

序盤はお互いに端歩を突き合い、呼吸を測る展開となった。伊藤二冠が▲4六歩と突いた局面は、過去に両者の間で2局指され1勝1敗という、手の内を知り尽くした形である。しかし、藤井王位が14手目に△8六歩と動いたことから、早くも独自の戦いが幕を開けた。藤井王位はノータイムで飛車を五段目に引き、伊藤二冠も自身の過去の前例に倣って2筋の歩を合わせていく。互いに研究が十分であることを窺わせるスピードで局面が進行していった。

藤井王位が△7五歩と積極的に仕掛け、さらに1筋の歩を突き捨てると、控室で見守る福崎九段から「バチバチしすぎですね」と驚きの声が漏れた。現代相掛かり特優の、一歩間違えれば収拾がつかなくなる横歩取りのような激しい変化が連続する。藤井王位は34手目に△7五飛と手を変え、ここでデータベース上の前例を完全に離れた。両者あぐらで盤に向かい合い、熟考を重ねる。

その後、伊藤二冠が▲2四歩と打って応戦すると、控室では「最先端の将棋、研究と力の勝負」と感嘆の声が上がった。さらに伊藤二冠が中央に放った▲5五角に対し、藤井王位が△7三角の合わせ角で切り返すなど、強気と強気が正面からぶつかり合う応酬が続いた。伊藤二冠が角を6六に引いた局面で、藤井王位が38分の考慮の末に昼食休憩に突入。1日目にして2日制の将棋とは思えないほどの密度とスピードで、激しい中盤戦の主導権争いが繰り広げられた。

休憩明け、藤井王位は△6六同飛と角を交換し、手に入れた角をすぐさま4九へと打ち込んだ。この手に対し、伊藤二冠は23分の考慮で▲2四飛と走る。互いに持ち時間を惜しみなく投入する難所を迎えた。伊藤二冠は▲3五歩から打開を試み、63手目に▲4五桂と果敢に駒を前に進めた。この桂跳ねは、後に△7六桂の王手を与えるリスクを伴うため、控室の山崎九段も「勝負にいきましたね」と緊迫した表情を見せた。

藤井王位は本局初の一時間超えとなる63分の長考の末、△3五角を選択。伊藤二冠が飛車を横にかわしたところで、午後18時の定刻を迎えた。1日目の手番となった伊藤二冠は、34分の考慮を経て69手目を封じた。両者の消費時間はほぼ互角。

明けて二日目、封じ手は▲3三歩で2日目の戦いが再開された。藤井王位は△2二金と冷静にかわし、勝負はここから一気に最終盤へと加速していくこととなります。

伊藤二冠は2日目の朝、左右からの挟撃を狙って▲8四桂から▲1四歩とひねり出した組み合わせを見せた。しかし、藤井王位はこの攻めに対し、46分の長考で△2七馬と引き付けた。この馬寄りが非常に気づきにくい盲点の一手であり、先手の攻めを自陣で牽制しつつ、絶大なスピード感を持って先手玉へと迫る一手となった。伊藤二冠はこれに対して1時間31分(91分)に及ぶ大長考に沈んだ。控室の山崎九段が「苦しんでいる長考」と指摘した通り、先手にとっては一気に形勢を損ねかねない厳しい局面となっていた。伊藤二冠は苦心の末▲3九飛と引いたが、藤井王位はノータイムで△1六馬と香車を補充し、攻守のバランスを完全に掌握した。

2日目の昼食休憩を終え、午後を迎えると藤井王位の攻めが牙を剥く。△7六桂の王手から△7四香と絶妙な防壁を築き、先手の勝負手を次々と封じていく。伊藤二冠は▲9七銀と辛うじて桂の利きをかわす驚異的な粘りを見せたが、藤井王位は動じず△2九と、と歩を捨てて寄せの網を絞り込んだ。飛車角交換の激しい変化を経て、藤井王位は88手目に△3九飛と一段目に据える。これが強烈な詰めろとなり、先手玉は完全に受けを失なう。

伊藤二冠は▲6一角成から▲4一飛と王手を重ねて必死に形を作ったが、藤井王位が静かに△5一角打と合駒を放つと、先手からの有効な後続手段は潰えた。藤井王位はさらに△8八歩打から最短の寄せを敢行する。伊藤二冠はあぐらから正座へ姿勢を正し、最後は100手目の△4二角を見た時点で静かに投了を告げ熱戦の幕が閉じられました。

本局の結果、藤井王位が激しい相掛かりの攻防を制して1勝1敗のタイに並び、王位防衛に向けて踏みとどまりました。これにより七番勝負は完全に振り出しに戻り、ファンにとってはさらに目が離せない展開となりました。
大注目の第3局は、7月29、30日の両日、北海道登別市の「祝いの宿 登別グランドホテル」へと舞台を移して行われます。名湯から名湯へ、二人の天才による至高の覇権争いは、北の大地でさらなる激化を見せるに違いありません。
次局が楽しみです^^

《タカダ》

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