八冠
2023年10月15日
決着局か、それとも最終局に持ち越しか ──
王座戦第4局が、京都市のウェスティン都ホテル京都にて行われました。
永瀬王座は永世称号となる名誉王座獲得へ、挑戦者の藤井七冠は最後の一冠を奪取し史上初の八冠完全制覇へと共に挑みます。
本局は永瀬王座の先手番です。
戦型は角換わり。両者研究の深い戦型ですが・・・。
序盤から全く時間を使わずに指し進めていく永瀬王座に対し、小考長考を繰り返しながら時間を使っていく藤井七冠。
午前の対局が終ろうとする40手目頃には永瀬王座が消費時間5分(!)に対し、藤井七冠は2時間48分と圧倒的な時間差がついてしまいます。勿論、将棋は時間が残っているから良いというわけではありませんが、持ち時間5時間しかない棋戦で、まだまだ難解な局面を迎えるであろう序盤での時間の使い方では無いように思います。明らかに苦しい状況が見て取れます。
午後からは流石に永瀬王座も時間を使っていき、途中藤井七冠が押し返す場面も見られましたが、本局も中盤以降は永瀬王座が有利に盤面を動かしていきます。
86手目には藤井七冠が先に1分将棋に突入。この時点では再び勝利の行方は混沌となります。
104手目、5七銀と永瀬玉の玉頭を直接狙いに行った一手が大きなマイナスとなります。
藤井七冠万事休す。流れの中でほぼ100%永瀬王座の勝ちが見えた運命の123手目・・・。
記録係の秒読みが残り僅かになった中、永瀬王座の手が盤上に伸び、そして馬を5三へ押し出した。
── 誰もが予想しなかった手。失着。将棋では悪手と呼ばれる手。
山の頂上から一気に滑り落ちてしまった一手。同時に永瀬王座の手からも名誉王座の称号が滑り落ちた瞬間でした。
永瀬王座が暫し盤上を見つめたまま固まると、その大失着に気づいて髪をかきむしり、天を仰ぎ大きくため息をつく。
普段の対局ではここまで負の感情を表に出すことは絶対に無い永瀬王座の、自分自身に対する憤りが画面越しに痛いほど伝わってきて観ている方もツラい・・・。
しかし、必敗となっても手番になると姿勢を正し静かに一手、また一手と指す姿は尊敬に値します。
藤井七冠も目の前の永瀬王座の気持ちを理解したのか、終始俯いたまま。
そして138手にて藤井七冠の勝利。
同時に八冠達成の瞬間でもありました。
2018年夏、8大タイトルを8人で分け合う将棋界の戦国時代に群雄割拠したタイトル保持者の中に、藤井聡太の名前はまだありませんでした。
2020年に初タイトルを獲得し、瞬く間に次々とタイトル戦に登場していき、たった3年で八冠全完制覇した藤井聡太。
「実力としてまだまだ足りないところが多いということは変わらず感じているので、その地位に見合った実力をつけられるように今後いっそう取り組んでいかなくてはいけない」とインタビューで答えた彼のゴールはどこにあるのでしょうか。
記録のゴールとしては八冠の永世称号獲得なのでしょうが、それも彼にとっては棋理を追求していく過程の出来事のひとつなのかもしれません。
ちなみに、八冠だけでも歴史的快挙であるのですが、藤井八冠は更に一般棋戦も全て優勝しスーパーグランドスラムを達成!
今後、全棋戦制覇する棋士は現れないでしょうね。
あ、また藤井さんが全制覇しそう・・・^^;
《タカダ》
王座戦第4局が、京都市のウェスティン都ホテル京都にて行われました。
永瀬王座は永世称号となる名誉王座獲得へ、挑戦者の藤井七冠は最後の一冠を奪取し史上初の八冠完全制覇へと共に挑みます。
本局は永瀬王座の先手番です。
戦型は角換わり。両者研究の深い戦型ですが・・・。
序盤から全く時間を使わずに指し進めていく永瀬王座に対し、小考長考を繰り返しながら時間を使っていく藤井七冠。
午前の対局が終ろうとする40手目頃には永瀬王座が消費時間5分(!)に対し、藤井七冠は2時間48分と圧倒的な時間差がついてしまいます。勿論、将棋は時間が残っているから良いというわけではありませんが、持ち時間5時間しかない棋戦で、まだまだ難解な局面を迎えるであろう序盤での時間の使い方では無いように思います。明らかに苦しい状況が見て取れます。
午後からは流石に永瀬王座も時間を使っていき、途中藤井七冠が押し返す場面も見られましたが、本局も中盤以降は永瀬王座が有利に盤面を動かしていきます。
86手目には藤井七冠が先に1分将棋に突入。この時点では再び勝利の行方は混沌となります。
104手目、5七銀と永瀬玉の玉頭を直接狙いに行った一手が大きなマイナスとなります。
藤井七冠万事休す。流れの中でほぼ100%永瀬王座の勝ちが見えた運命の123手目・・・。
記録係の秒読みが残り僅かになった中、永瀬王座の手が盤上に伸び、そして馬を5三へ押し出した。
── 誰もが予想しなかった手。失着。将棋では悪手と呼ばれる手。
山の頂上から一気に滑り落ちてしまった一手。同時に永瀬王座の手からも名誉王座の称号が滑り落ちた瞬間でした。
永瀬王座が暫し盤上を見つめたまま固まると、その大失着に気づいて髪をかきむしり、天を仰ぎ大きくため息をつく。
普段の対局ではここまで負の感情を表に出すことは絶対に無い永瀬王座の、自分自身に対する憤りが画面越しに痛いほど伝わってきて観ている方もツラい・・・。
しかし、必敗となっても手番になると姿勢を正し静かに一手、また一手と指す姿は尊敬に値します。
藤井七冠も目の前の永瀬王座の気持ちを理解したのか、終始俯いたまま。
そして138手にて藤井七冠の勝利。
同時に八冠達成の瞬間でもありました。
2018年夏、8大タイトルを8人で分け合う将棋界の戦国時代に群雄割拠したタイトル保持者の中に、藤井聡太の名前はまだありませんでした。
2020年に初タイトルを獲得し、瞬く間に次々とタイトル戦に登場していき、たった3年で八冠全完制覇した藤井聡太。
「実力としてまだまだ足りないところが多いということは変わらず感じているので、その地位に見合った実力をつけられるように今後いっそう取り組んでいかなくてはいけない」とインタビューで答えた彼のゴールはどこにあるのでしょうか。
記録のゴールとしては八冠の永世称号獲得なのでしょうが、それも彼にとっては棋理を追求していく過程の出来事のひとつなのかもしれません。
ちなみに、八冠だけでも歴史的快挙であるのですが、藤井八冠は更に一般棋戦も全て優勝しスーパーグランドスラムを達成!
今後、全棋戦制覇する棋士は現れないでしょうね。
あ、また藤井さんが全制覇しそう・・・^^;
《タカダ》
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