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竜王戦七番勝負第1局目

2023年10月08日

その時の一番強い棋士を決める戦い ──
第36期竜王戦七番勝負がとうとう始まりました。

現竜王は現代将棋の棋神、藤井聡太竜王名人(七冠)(21)。
第34期に豊島竜王からストレートで竜王位を奪取。2度目の防衛戦となります。
竜王戦七番勝負での通算成績は8勝2敗。

対する挑戦者は伊藤匠七段(20)。
伊藤七段は竜王戦ランキング5組からスタートし、決勝トーナメントで並居る強豪相手に連勝を積み重ね、挑戦者決定三番勝負では現在藤井竜王名人に次いで王座を保持している永瀬王座を2連勝で破り、藤井竜王名人でもなし得なかった5組からのタイトル挑戦は竜王戦がタイトル戦となってからの初の快挙となります。
現在棋界の頂点に並び立つ2つの棋戦、名人戦と竜王戦ですが、名人戦はフリークラスを除いた全棋士が年間を通じて順位戦と呼ばれる所属クラスで戦い、勝ち上がりを経てA級を目指します。
C2クラスからA級までは長い道程であり、A級に在籍できるのは時の名人を除き僅か10人。紛うことなき天才集団の中の天才たち。そこに辿り着かないと名人への挑戦は叶わない。どれだけ強くても年単位のパフォーマンスを発揮し維持していかないと難しい。
竜王戦は全棋士が1組から6組まで組分けされたトーナメント方式で戦っていきます。
各組優勝者が(1組は1位～4位)決勝トーナメントで挑戦権を掛けて戦います。なので名人戦と違い強ければ最下層の組から竜王挑戦、獲得も夢ではありません。まさに竜王ドリームと呼ばれる所以です。
過去、4組優勝からのタイトル奪取が最高でしたが、今期は5組からの挑戦権獲得で更に竜王位を奪取すれば記録を塗り替えることとなります。

そんな現代将棋に精通する若き棋士同士の対決は注目度が高く、この第1局は特に関心が持たれております。

第1局目は東京・セルリアンタワー能楽堂にて行われます。
振り駒の結果、伊藤七段が先手番となりました。

戦型は相掛かり。序盤から攻める伊藤七段に対し、冷静に受けながらも飛車を細かく動かして敵陣を威圧する藤井竜王。

伊藤七段の47手目、大長考後に指した手は力をためる▲4五歩でしたが、やや攻め手を欠く一手でこの辺りから藤井竜王のリードが広がっていきます。
1日目は伊藤七段が初めての封じ手を行いました。

明けて2日目。
封じ手は浮いた飛車にアタックを掛ける▲3六銀。予想になかった手でした。
しかし、華麗にかわされた後局面はどんどんと進んでいきますがなかなか事態が好転しない伊藤七段に対し、着実にリードを広げていく藤井竜王。
最後の攻めをかわされた伊藤七段は82手にて投了。
終わってみれば藤井竜王の圧勝といっていい内容でした。