竜王戦第3局、そして天皇賞(秋)
2022年10月31日
28(金)29日(土)の2日間に渡って、棋界最高峰のタイトル戦である第35期竜王戦七番勝負、第3局が静岡県富士宮市の「割烹旅館 たちばな」にて行なわれました。
富士山の雄大な姿を眺望できる最高の舞台で、本局は今後の戦いの主導権を奪えるのかどうかの大事な一戦となります。
第1局、第2局共に序盤は事前研究の深さを存分に見せてきた広瀬八段がリードし後を追う藤井竜王という図式でしたが、前局に続いて連闘となる本局は再び広瀬八段の先手番になるので果たしてどのような
戦型となるのでしょうか!?
本局は広瀬八段の先手番で、シリーズ初の「相掛かり」の出だしとなりました。
相掛かりとは、お互いの飛車先の歩を突き合っていく戦型です。
江戸時代末期より流行し、ここ最近になってまた相掛かりがブームとなっています。
相掛かりを採用した広瀬八段は、やはり研究の行き届いた序盤戦を有利に進めていきます。
方や本局も序盤から惜しみなく時間を投入して考慮していく姿はもはや定番となったスタイル。
1日目は序中盤の駆け引きで新手を繰り出すなど広瀬八段がリードし3局続いて広瀬八段が封じ手を行います。
2日目、広瀬八段の封じ手は強く1四歩。飛車がそれて手薄になった1筋を攻めていく。
封じ手が読み上げられ、1四に歩を進める広瀬八段
予想の範疇ではあったと思われる藤井竜王ですが、すぐには指さず2日目開始直後から思考に沈んでいきます。
お互い大駒を持ち合ったまま難解な中盤戦は続いていきます。
そしてリードを保ったまま広瀬八段が91手目、勝負に出ます。
駒台から角を手にすると藤井竜王の飛車、銀両取りとなる8二の地点に打ち込みます。
かなり踏み込んだ手に評価的には芳しくないのか、初めて藤井竜王側に大きく優勢に傾きます。
ここで藤井竜王の目の覚める一着が飛び出します。
92手目、飛車で歩を取りに行く7五飛!
欲しいなら価値の高い駒をくれてやる、とばかりに押し出した飛車に広瀬八段は読みに無かったのかしきりに扇子であおぎます。
正直これは頭で理解しててもその後の展開を読みきらないと指せない手ですよ・・・なんなんこの子・・・怖い。
一気に形勢が逆転するとここからは一方的な展開でした。
ここから一時間もしないうちに先手はかなりキツイ状況に追い込まれます。
結局覆水盆に返らず、僅かな隙きを突いて一撃を見舞った藤井竜王が112手で勝利。
これで2勝1敗と白星が先行する形となりました。
広瀬八段とすれば勝ちを逃したこの一敗は非常に精神的にはツライのではないでしょうか・・・。
次の対局までに精神的ダメージの回復を願います。
さて、第4局は11月8日・9日に京都府福知山市の福知山城天守閣特別対局室にて行なわれます。楽しみです^^
趣味の話をもうひとつ・・・
昨日10月30日に行われた競馬のG1「第166回 天皇賞(秋)」では、イクイノックスが勝利しましたね!
今年のG1は1番人気の馬が勝てない呪いが懸かっていて、なんとここまで1番人気馬は15連敗!
しかも2着が1回、3着が2回という散々な結果となっていました。
そして今回の秋天も強力な古馬が参戦する中、2歳G2で勝利して以来G1では2着が続いていたイクイノックスが1番人気を背負って果たして勝てるのか!?という声も上がっていた中、人気に応えて見事勝利!3歳馬が古馬を撃破して勝利は昨年の秋天の19年ぶりの3歳馬勝利であったエフフォーリアに続いて連続です!
しかし、このレースで観客を大いに沸かせたもう一頭が・・・。
その馬の名はパンサラッサ。
2歳から4歳秋まではパッとしない成績でスタートが決まれば・・・という状態だったのですが、2021年福島記念(G2)で素質が開花。
その素質とは、逃げ脚質。スタートから後続を置き去りにしていくスピード勝負の大逃げへ。
福島記念では4角まで着いてきた先行馬をギブアップさせ、そこから単独で後続を置き去りにし4馬身差の圧勝。
奇しくも福島競馬場の芝2000m重賞で4馬身差で勝ったのが、1993年に同競馬場で行われた七夕賞勝ち馬のターボエンジンと謳われたツインターボという馬で、当時のラップタイムや勝ちタイム、上がりタイムが酷似していることから令和のツインターボと呼ばれるように。
続く有馬記念(G1)では大敗を喫しましたが、翌年の中山記念(G2)ではスタートもしっかり決まり3角までに4馬身差をつけ、直線では後続馬に迫られはしましたが2.5馬身差で勝利。
本格的に強い逃げ馬へと成長していきます。
海外遠征を経てそして照準をここ天皇賞(秋)に合わせて仕上げてきたこの馬が、6万人超で埋められた中山競馬場を大いに沸かす大逃げを打ったのでした!
スタートからグングン後続を引き離すと、10馬近く先行して通過した1000mのタイムはなんと57秒4!
天皇賞(秋)、57秒4、大逃げ・・・
このワードからある名馬を思い起こされる方も多いのではないでしょうか。
そう、サイレンススズカですね。
1998年の第118回 天皇賞(秋)で圧倒的1番人気で迎えたレースでスタート直後から驚異のハイペースの大逃げで駆けていき、1000mのタイムは57秒4。しかし大ケヤキを過ぎたところで脚部に故障が発生し、そしてこの日の中山競馬場のゴール板を通過することなく天国へ旅立っていった名馬サイレンススズカ。
──── そしてパンサラッサはなおも後続を突き放していく。
大ケヤキで一度隠れた馬体を再び現しそのまま最終コーナーを駆けていく。
ヤバい来た!これは残る!
流石にヘロヘロになりながらも鞍上の鞭に応えて懸命にゴールを目指すパンサラッサ。
しかし、切れ味抜群の末脚を持つイクイノックスが寸前で差し切り惜しくも2着。
同じ秋天で稀代のスピードスターだったサイレンススズカ並みの大逃げが見られるとは思ってもみなかったので、なんだかサイレンススズカが24年の時を経てゴール出来たような、そんな思いがふとよぎりました。
あ、馬券は散々でしたけれどね(苦笑)
《タカダ》
富士山の雄大な姿を眺望できる最高の舞台で、本局は今後の戦いの主導権を奪えるのかどうかの大事な一戦となります。
第1局、第2局共に序盤は事前研究の深さを存分に見せてきた広瀬八段がリードし後を追う藤井竜王という図式でしたが、前局に続いて連闘となる本局は再び広瀬八段の先手番になるので果たしてどのような
戦型となるのでしょうか!?
本局は広瀬八段の先手番で、シリーズ初の「相掛かり」の出だしとなりました。
相掛かりとは、お互いの飛車先の歩を突き合っていく戦型です。
江戸時代末期より流行し、ここ最近になってまた相掛かりがブームとなっています。
相掛かりを採用した広瀬八段は、やはり研究の行き届いた序盤戦を有利に進めていきます。
方や本局も序盤から惜しみなく時間を投入して考慮していく姿はもはや定番となったスタイル。
1日目は序中盤の駆け引きで新手を繰り出すなど広瀬八段がリードし3局続いて広瀬八段が封じ手を行います。
2日目、広瀬八段の封じ手は強く1四歩。飛車がそれて手薄になった1筋を攻めていく。
封じ手が読み上げられ、1四に歩を進める広瀬八段
予想の範疇ではあったと思われる藤井竜王ですが、すぐには指さず2日目開始直後から思考に沈んでいきます。
お互い大駒を持ち合ったまま難解な中盤戦は続いていきます。
そしてリードを保ったまま広瀬八段が91手目、勝負に出ます。
駒台から角を手にすると藤井竜王の飛車、銀両取りとなる8二の地点に打ち込みます。
かなり踏み込んだ手に評価的には芳しくないのか、初めて藤井竜王側に大きく優勢に傾きます。
ここで藤井竜王の目の覚める一着が飛び出します。
92手目、飛車で歩を取りに行く7五飛!
欲しいなら価値の高い駒をくれてやる、とばかりに押し出した飛車に広瀬八段は読みに無かったのかしきりに扇子であおぎます。
正直これは頭で理解しててもその後の展開を読みきらないと指せない手ですよ・・・なんなんこの子・・・怖い。
一気に形勢が逆転するとここからは一方的な展開でした。
ここから一時間もしないうちに先手はかなりキツイ状況に追い込まれます。
結局覆水盆に返らず、僅かな隙きを突いて一撃を見舞った藤井竜王が112手で勝利。
これで2勝1敗と白星が先行する形となりました。
広瀬八段とすれば勝ちを逃したこの一敗は非常に精神的にはツライのではないでしょうか・・・。
次の対局までに精神的ダメージの回復を願います。
さて、第4局は11月8日・9日に京都府福知山市の福知山城天守閣特別対局室にて行なわれます。楽しみです^^
趣味の話をもうひとつ・・・
昨日10月30日に行われた競馬のG1「第166回 天皇賞(秋)」では、イクイノックスが勝利しましたね!
今年のG1は1番人気の馬が勝てない呪いが懸かっていて、なんとここまで1番人気馬は15連敗!
しかも2着が1回、3着が2回という散々な結果となっていました。
そして今回の秋天も強力な古馬が参戦する中、2歳G2で勝利して以来G1では2着が続いていたイクイノックスが1番人気を背負って果たして勝てるのか!?という声も上がっていた中、人気に応えて見事勝利!3歳馬が古馬を撃破して勝利は昨年の秋天の19年ぶりの3歳馬勝利であったエフフォーリアに続いて連続です!
しかし、このレースで観客を大いに沸かせたもう一頭が・・・。
その馬の名はパンサラッサ。
2歳から4歳秋まではパッとしない成績でスタートが決まれば・・・という状態だったのですが、2021年福島記念(G2)で素質が開花。
その素質とは、逃げ脚質。スタートから後続を置き去りにしていくスピード勝負の大逃げへ。
福島記念では4角まで着いてきた先行馬をギブアップさせ、そこから単独で後続を置き去りにし4馬身差の圧勝。
奇しくも福島競馬場の芝2000m重賞で4馬身差で勝ったのが、1993年に同競馬場で行われた七夕賞勝ち馬のターボエンジンと謳われたツインターボという馬で、当時のラップタイムや勝ちタイム、上がりタイムが酷似していることから令和のツインターボと呼ばれるように。
続く有馬記念(G1)では大敗を喫しましたが、翌年の中山記念(G2)ではスタートもしっかり決まり3角までに4馬身差をつけ、直線では後続馬に迫られはしましたが2.5馬身差で勝利。
本格的に強い逃げ馬へと成長していきます。
海外遠征を経てそして照準をここ天皇賞(秋)に合わせて仕上げてきたこの馬が、6万人超で埋められた中山競馬場を大いに沸かす大逃げを打ったのでした!
スタートからグングン後続を引き離すと、10馬近く先行して通過した1000mのタイムはなんと57秒4!
天皇賞(秋)、57秒4、大逃げ・・・
このワードからある名馬を思い起こされる方も多いのではないでしょうか。
そう、サイレンススズカですね。
1998年の第118回 天皇賞(秋)で圧倒的1番人気で迎えたレースでスタート直後から驚異のハイペースの大逃げで駆けていき、1000mのタイムは57秒4。しかし大ケヤキを過ぎたところで脚部に故障が発生し、そしてこの日の中山競馬場のゴール板を通過することなく天国へ旅立っていった名馬サイレンススズカ。
──── そしてパンサラッサはなおも後続を突き放していく。
大ケヤキで一度隠れた馬体を再び現しそのまま最終コーナーを駆けていく。
ヤバい来た!これは残る!
流石にヘロヘロになりながらも鞍上の鞭に応えて懸命にゴールを目指すパンサラッサ。
しかし、切れ味抜群の末脚を持つイクイノックスが寸前で差し切り惜しくも2着。
同じ秋天で稀代のスピードスターだったサイレンススズカ並みの大逃げが見られるとは思ってもみなかったので、なんだかサイレンススズカが24年の時を経てゴール出来たような、そんな思いがふとよぎりました。
あ、馬券は散々でしたけれどね(苦笑)
《タカダ》
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