メガネの聖地・鯖江市探訪その5
2020年03月03日
こんにちは。
昨日のフジイさんからのバトンを受け継いで、時系列としては一昨日のタカダさんの続き、2日目の午後から訪れた『アイテック』さんをご紹介させていただこうと思います。
でもその前に。
午前中にお世話になった『フジイオプチカル』の藤井社長にオススメの食事処をお聞きしたところ、ご紹介してくださったのが『めん房 新月亭(しんげつてい)』さん。
そこの「ジャンボ海老天おろしそば」が最高、うどんもイケるとのことで、ナビの案内に従い車を走らせること約10分で到着。
店の2階の座敷に通されお茶を飲みながらメニューを見てると、おっ、これか…ジャンボ海老天おろしそば…
… 1,780円
…オーゥ!オゥ(フゥー)
社長の了解も得て(笑)、単品としては店で1番高いそばを注文。そして出てきたのがコチラ。

確かに海老天でかっ!!そしてウマッ!!

自家製の蕎麦に、冷たいお出汁と辛みのある大根おろし、天ぷらのサクサク、全てのマリアージュが最高…(ハーモニーとも言う(笑))
さて。
お腹をしっかり満たした僕達一行が向かった先は福井のフレームメーカーの表面処理やメッキ塗装の多くを請け負う『アイテック』さんです。

ただ、残念ながら今回の工場内の写真撮影NGでしたので、ここからは文章(もしくはイメージ画像)でお伝えしようと思います。
眼鏡の産地である鯖江は国産フレームの約84%を生産していると言われていますが、古くから分業制です。ひとつのメガネが出来るまで200から300の工程があると言われていますが、パットから先セルからネジから全て自社生産というのは少数で、それぞれ強みを持つ工場へ外注する訳です。
そして、その中でも特にメガネの生産工程に欠かせないのが、表面処理(下地メッキ、金属メッキ、塗装)です。
表面処理が必要な理由は大きく2つ。
『素材の腐食を防ぐため』
『フレームの装飾』
それぞれ耐久性の向上、デザイン的な見た目をよくするためですね。
ここ『アイテック』さんは、ゴルフクラブのヘッドやカーボンシャフト、スマホ、家電品のボディ、車のホイール、ドアノブ、釣具、パチンコ玉と日常のありとあらゆる様々な製品の表面処理もされていますが、メガネに限っていうと1日の入荷枚数が約25,000枚、出荷も同量扱われているそうです。
まずは各メーカーから請負ったフレームの表面の汚れや油膜を落とす「剥がし」という工程を終え、パラジウムなどの下地メッキ工程をした後、最後に行う表面処理は次にご紹介する3種類です。
『金属メッキ(湿式メッキ)』
メッキ物質(金、ロジウム、パラジウムなど)を溶解した水溶液(メッキ液)に、陰極(-)に通電したフレームを入れます。すると、液中の金属(+)は、陰極に引っ張られてフレーム表面に付着し、金属膜が生成されます。この繰り返しがメッキです。
『塗装』
塗装による表面処理は、電着塗装や溶剤吹き付け塗装などがあります。電着塗装は、水溶性塗料中にフレームを陰極(陽極)として電流を通し、樹脂を電気化学的に析出させて乾燥焼き付けを行い、成膜させる方法です。溶剤吹き付け塗装は、圧搾空気によるスプレーガンで塗装します。(静電気を利用する方法もあります。)
メッキが金属被膜であるのに対して、塗装は一般的に、有機高分子(ペンキ、樹脂など)等で被膜することです。コストが安く、カラーバリエーションも豊富ですが、密着性や高級感では、湿式メッキに劣ります。
『イオンプレーティング』
イオンプレーティングとは、ほぼ真空にした釜の中でメッキ物質(チタン等)を加熱蒸発させてイオン化し、イオン化した所へ反応ガス(窒素、アセチレン等)を吹き込みます。この際、金属イオンと反応ガスのによって硬質の金属化合粒子(炭化チタンなど)が出来ます。これを負(ー)の電圧をかけたフレーム(主にチタンフレーム)表面に衝撃的に衝突させて、硬化膜を生成させる方法です。
真空の釜の中では、イオン化した金属や反応ガス、金属化合物が入り乱れて数千km/秒の速度で飛び交っており、この中にメガネフレームが入ってきた時、激しく衝突して積み重なり膜となります。しかし、それぞれの粒子は目に見えない程極めて小さいので、膜の厚みは0.3μ(ミクロン)〜0.5μくらいです。

イオンプレーティングはメッキコストが高価なことと、カラーバリエーションが少ないことなど難点もあります(ブラウン、グレー、それぞれ濃淡)。しかし密着強度は通常のメッキに比べてはるかに強く、純チタンフレームとイオンプレーティングメッキの組み合わせでは、ニッケルレスとなるため、アレルギーの心配が少なくなります。
先程から(ー)だ(+)だとなんだか難しい事を申しておりますが…(笑)メッキに関して、初日に訪れた『リペア』さんが、わかりやすい例え話をされていたのでご紹介します。
頭を洗う時を想像してみてください。

まず髪は濡らすとその段階では(ー)となります。次にシャンプーで洗う訳ですが、そのシャンプー剤は(ー)だそうで、(ー)同志反発することで汚れが落ちます。そしてトリートメント(リンス)…これが(+)で、髪の(ー)と引き寄せ合う事で髪に浸透していく。
メガネの表面処理に置き換えると、髪がフレーム、トリートメントがメッキという訳です。
ここでひとつ耳寄りな情報。
イオンプレーティング(IPメッキ)されたフレームは、手で直接触れると指紋など油分や汚れが付着しやすいんだけど。
そんな時は消しゴムで軽く擦ると良いらしいです。

最後に。
『アイテック』さんでは商品管理の関係上、作業スペースに足を踏み入れることが出来ず、ガラス越しにしか中の様子を見学できませんでしたが…
そんな中、そこで働く10数名ほどの年齢も様々な女性スタッフのみなさんがボードに挟まれた紙(きっと仕事内容が書かれているのだろう)を見ながら真剣に話し合う様子が、すごく印象的でした。
会話の内容はわかりませんが、ふざけた様子もなくチームとして仕事に向き合うその姿勢にプロ意識を感じました。
メガネに関わる人間として、とても嬉しくなりました。
アイテックさんに限った事ではなく、今回訪れたどの現場の方々も、それぞれの持ち場でキチンとした仕事をしてくださるお陰で、僕たちはお客様に自信をもってメガネをご提案することが出来るんだな…そう思ったからです。




金属や樹脂という本来無機質な「モノ」に
温かみを感じるのは
そこに多くの人の「手」と多くの人の「思い」が詰まってるからなんだなと。
2年前に引き続き、今回福井に来て2日間で5社を訪問・見学させていただいて、そう確信しました。
前回の工場見学を含めて、仕事で福井県を訪れたのは今回で3回目。ますます福井県のことが好きになりました。
お世話になった方々本当にありがとうございました。
それでは明日のアンカーのマツウラさんにバトンを託します。
《ウエノ》
昨日のフジイさんからのバトンを受け継いで、時系列としては一昨日のタカダさんの続き、2日目の午後から訪れた『アイテック』さんをご紹介させていただこうと思います。
でもその前に。
午前中にお世話になった『フジイオプチカル』の藤井社長にオススメの食事処をお聞きしたところ、ご紹介してくださったのが『めん房 新月亭(しんげつてい)』さん。
そこの「ジャンボ海老天おろしそば」が最高、うどんもイケるとのことで、ナビの案内に従い車を走らせること約10分で到着。
店の2階の座敷に通されお茶を飲みながらメニューを見てると、おっ、これか…ジャンボ海老天おろしそば…
… 1,780円
…オーゥ!オゥ(フゥー)
社長の了解も得て(笑)、単品としては店で1番高いそばを注文。そして出てきたのがコチラ。
確かに海老天でかっ!!そしてウマッ!!
自家製の蕎麦に、冷たいお出汁と辛みのある大根おろし、天ぷらのサクサク、全てのマリアージュが最高…(ハーモニーとも言う(笑))
さて。
お腹をしっかり満たした僕達一行が向かった先は福井のフレームメーカーの表面処理やメッキ塗装の多くを請け負う『アイテック』さんです。
ただ、残念ながら今回の工場内の写真撮影NGでしたので、ここからは文章(もしくはイメージ画像)でお伝えしようと思います。
眼鏡の産地である鯖江は国産フレームの約84%を生産していると言われていますが、古くから分業制です。ひとつのメガネが出来るまで200から300の工程があると言われていますが、パットから先セルからネジから全て自社生産というのは少数で、それぞれ強みを持つ工場へ外注する訳です。
そして、その中でも特にメガネの生産工程に欠かせないのが、表面処理(下地メッキ、金属メッキ、塗装)です。
表面処理が必要な理由は大きく2つ。
『素材の腐食を防ぐため』
『フレームの装飾』
それぞれ耐久性の向上、デザイン的な見た目をよくするためですね。
ここ『アイテック』さんは、ゴルフクラブのヘッドやカーボンシャフト、スマホ、家電品のボディ、車のホイール、ドアノブ、釣具、パチンコ玉と日常のありとあらゆる様々な製品の表面処理もされていますが、メガネに限っていうと1日の入荷枚数が約25,000枚、出荷も同量扱われているそうです。
まずは各メーカーから請負ったフレームの表面の汚れや油膜を落とす「剥がし」という工程を終え、パラジウムなどの下地メッキ工程をした後、最後に行う表面処理は次にご紹介する3種類です。
『金属メッキ(湿式メッキ)』
メッキ物質(金、ロジウム、パラジウムなど)を溶解した水溶液(メッキ液)に、陰極(-)に通電したフレームを入れます。すると、液中の金属(+)は、陰極に引っ張られてフレーム表面に付着し、金属膜が生成されます。この繰り返しがメッキです。
『塗装』
塗装による表面処理は、電着塗装や溶剤吹き付け塗装などがあります。電着塗装は、水溶性塗料中にフレームを陰極(陽極)として電流を通し、樹脂を電気化学的に析出させて乾燥焼き付けを行い、成膜させる方法です。溶剤吹き付け塗装は、圧搾空気によるスプレーガンで塗装します。(静電気を利用する方法もあります。)
メッキが金属被膜であるのに対して、塗装は一般的に、有機高分子(ペンキ、樹脂など)等で被膜することです。コストが安く、カラーバリエーションも豊富ですが、密着性や高級感では、湿式メッキに劣ります。
『イオンプレーティング』
イオンプレーティングとは、ほぼ真空にした釜の中でメッキ物質(チタン等)を加熱蒸発させてイオン化し、イオン化した所へ反応ガス(窒素、アセチレン等)を吹き込みます。この際、金属イオンと反応ガスのによって硬質の金属化合粒子(炭化チタンなど)が出来ます。これを負(ー)の電圧をかけたフレーム(主にチタンフレーム)表面に衝撃的に衝突させて、硬化膜を生成させる方法です。
真空の釜の中では、イオン化した金属や反応ガス、金属化合物が入り乱れて数千km/秒の速度で飛び交っており、この中にメガネフレームが入ってきた時、激しく衝突して積み重なり膜となります。しかし、それぞれの粒子は目に見えない程極めて小さいので、膜の厚みは0.3μ(ミクロン)〜0.5μくらいです。
イオンプレーティングはメッキコストが高価なことと、カラーバリエーションが少ないことなど難点もあります(ブラウン、グレー、それぞれ濃淡)。しかし密着強度は通常のメッキに比べてはるかに強く、純チタンフレームとイオンプレーティングメッキの組み合わせでは、ニッケルレスとなるため、アレルギーの心配が少なくなります。
先程から(ー)だ(+)だとなんだか難しい事を申しておりますが…(笑)メッキに関して、初日に訪れた『リペア』さんが、わかりやすい例え話をされていたのでご紹介します。
頭を洗う時を想像してみてください。
まず髪は濡らすとその段階では(ー)となります。次にシャンプーで洗う訳ですが、そのシャンプー剤は(ー)だそうで、(ー)同志反発することで汚れが落ちます。そしてトリートメント(リンス)…これが(+)で、髪の(ー)と引き寄せ合う事で髪に浸透していく。
メガネの表面処理に置き換えると、髪がフレーム、トリートメントがメッキという訳です。
ここでひとつ耳寄りな情報。
イオンプレーティング(IPメッキ)されたフレームは、手で直接触れると指紋など油分や汚れが付着しやすいんだけど。
そんな時は消しゴムで軽く擦ると良いらしいです。
最後に。
『アイテック』さんでは商品管理の関係上、作業スペースに足を踏み入れることが出来ず、ガラス越しにしか中の様子を見学できませんでしたが…
そんな中、そこで働く10数名ほどの年齢も様々な女性スタッフのみなさんがボードに挟まれた紙(きっと仕事内容が書かれているのだろう)を見ながら真剣に話し合う様子が、すごく印象的でした。
会話の内容はわかりませんが、ふざけた様子もなくチームとして仕事に向き合うその姿勢にプロ意識を感じました。
メガネに関わる人間として、とても嬉しくなりました。
アイテックさんに限った事ではなく、今回訪れたどの現場の方々も、それぞれの持ち場でキチンとした仕事をしてくださるお陰で、僕たちはお客様に自信をもってメガネをご提案することが出来るんだな…そう思ったからです。
金属や樹脂という本来無機質な「モノ」に
温かみを感じるのは
そこに多くの人の「手」と多くの人の「思い」が詰まってるからなんだなと。
2年前に引き続き、今回福井に来て2日間で5社を訪問・見学させていただいて、そう確信しました。
前回の工場見学を含めて、仕事で福井県を訪れたのは今回で3回目。ますます福井県のことが好きになりました。
お世話になった方々本当にありがとうございました。
それでは明日のアンカーのマツウラさんにバトンを託します。
《ウエノ》
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