鵜の目鷹の目
2021年01月26日
こんにちは。ブログをご覧いただきありがとうございます。
先週に続き今週は鵜の目鷹の目についてのお話です。
鵜が魚を、鷹が小鳥を捜すように、一所懸命に物を探し出すさまを「鵜の目鷹の目」といいますね。こんな言葉が生まれたのは、日本人が鵜や鷹を視力の良い動物の代表と考えたからでしょう。
鵜の目の特徴は陸上でも水中でもよく見えることです。
鵜は鳥類でありながら、空を飛ぶことよりも潜水の方が得意です。鵜は高い岩場や樹の上に巣を作りますが、それはあくまでもマイホームで彼らの職場は水の中にあります。鵜は水面上を泳ぎながら水中を散策し、魚を見つけると脱兎のごとく水中に潜り追いかけて捕らえ、鵜呑みにして食べています。鵜が漁の名人であることは古くから知られており、ウミウを捕らえて飼い慣らし、川でアユ漁に使う「鵜飼い」は古事記にもすでに記載されているほどの長い伝統を持っています。
鵜が漁の名人である要因は色々とあるようです。
泳ぎが達者なこと、羽が親水性であること、捕らえた魚を逃さないためにクチバシの先端部が鍵形に曲がってること、等々。
しかし大きな武器となっているのは、その目だと思われます。
水中に入ると、水と角膜との屈折率に差がないために角膜がレンズとしては機能しなくなります。
したがって空気中の正視の人は、水中では30〜40ジオプトリーの強度の遠視状態となります。
ヒトの場合は若い世代でも10ジオプトリー程度の調節力しか持ち合わせていないので、水中では十分にピントを合わせることができず、物を良く見ることが出来ません。
これに対し鵜は、50ジオプトリー程の調節力を持っており、水中に潜っても十分にピントを合わせることが出来るのです。
鳥類の視力が良く、鷹がとりわけ優れているのは先週お伝えしましたが、
鷹は1km近く離れたところにいるトンボを認識できますが、ヒトは100m離れるともう無理です。
鷹の目は、水晶体が薄く、水晶体から眼底までの距離が長いのでヒトの目に比べると望遠鏡に近い構造をしており、遠方の物体がより拡大して眼底に投影されています。
ところでなぜ鷹はこれほどまでに視力が良くなければならなかったのでしょうか。
恐竜が大きな顔をして闊歩していた時代に、肉食恐竜の餌食にされないようにと、弱小の爬虫類たちは木の上に登り、木の間をピョンピョンと跳びはねて逃げ回っていたと言われています。跳びはねているうちに、やがて前脚が羽として発達して空を滑空するものが現れ、これが鳥類として進化していったと考えられています、鳥類は弱者ゆえに、鳥になったわけですが、やがて恐竜がこの世からいなくなると、弱者仲間の鳥類を獲物にする仁義なき鳥が現れるようになってきます。
それが鷹やワシです。
彼らはウサギや小鳥といった動くものを餌としている以上、それを目ざとく見つけるための鋭敏な視覚がなければ生きていけないのです。
動物の体というのは使わなければ機能は衰えます。鷹は日常、高い木の上から数キロメートルに及ぶ縄張りを見渡していますが、鷹が良好な視力を保持しているのは、常に遠くを見ているからですね。
ヒトの場合も同様で、日常、遠くを見る機会が多いアフリカやモンゴルの人たちの視力は非常に良好です。
私達も良好な視力を保持するためには日々遠方を見るように努める必要があります。
テレビは2~3m離れた位置から見るのが好ましいですよ。
以上鵜の目鷹の目でした。
《いまい》
先週に続き今週は鵜の目鷹の目についてのお話です。
鵜が魚を、鷹が小鳥を捜すように、一所懸命に物を探し出すさまを「鵜の目鷹の目」といいますね。こんな言葉が生まれたのは、日本人が鵜や鷹を視力の良い動物の代表と考えたからでしょう。
鵜の目の特徴は陸上でも水中でもよく見えることです。
鵜は鳥類でありながら、空を飛ぶことよりも潜水の方が得意です。鵜は高い岩場や樹の上に巣を作りますが、それはあくまでもマイホームで彼らの職場は水の中にあります。鵜は水面上を泳ぎながら水中を散策し、魚を見つけると脱兎のごとく水中に潜り追いかけて捕らえ、鵜呑みにして食べています。鵜が漁の名人であることは古くから知られており、ウミウを捕らえて飼い慣らし、川でアユ漁に使う「鵜飼い」は古事記にもすでに記載されているほどの長い伝統を持っています。
鵜が漁の名人である要因は色々とあるようです。
泳ぎが達者なこと、羽が親水性であること、捕らえた魚を逃さないためにクチバシの先端部が鍵形に曲がってること、等々。
しかし大きな武器となっているのは、その目だと思われます。
水中に入ると、水と角膜との屈折率に差がないために角膜がレンズとしては機能しなくなります。
したがって空気中の正視の人は、水中では30〜40ジオプトリーの強度の遠視状態となります。
ヒトの場合は若い世代でも10ジオプトリー程度の調節力しか持ち合わせていないので、水中では十分にピントを合わせることができず、物を良く見ることが出来ません。
これに対し鵜は、50ジオプトリー程の調節力を持っており、水中に潜っても十分にピントを合わせることが出来るのです。
鳥類の視力が良く、鷹がとりわけ優れているのは先週お伝えしましたが、
鷹は1km近く離れたところにいるトンボを認識できますが、ヒトは100m離れるともう無理です。
鷹の目は、水晶体が薄く、水晶体から眼底までの距離が長いのでヒトの目に比べると望遠鏡に近い構造をしており、遠方の物体がより拡大して眼底に投影されています。
ところでなぜ鷹はこれほどまでに視力が良くなければならなかったのでしょうか。
恐竜が大きな顔をして闊歩していた時代に、肉食恐竜の餌食にされないようにと、弱小の爬虫類たちは木の上に登り、木の間をピョンピョンと跳びはねて逃げ回っていたと言われています。跳びはねているうちに、やがて前脚が羽として発達して空を滑空するものが現れ、これが鳥類として進化していったと考えられています、鳥類は弱者ゆえに、鳥になったわけですが、やがて恐竜がこの世からいなくなると、弱者仲間の鳥類を獲物にする仁義なき鳥が現れるようになってきます。
それが鷹やワシです。
彼らはウサギや小鳥といった動くものを餌としている以上、それを目ざとく見つけるための鋭敏な視覚がなければ生きていけないのです。
動物の体というのは使わなければ機能は衰えます。鷹は日常、高い木の上から数キロメートルに及ぶ縄張りを見渡していますが、鷹が良好な視力を保持しているのは、常に遠くを見ているからですね。
ヒトの場合も同様で、日常、遠くを見る機会が多いアフリカやモンゴルの人たちの視力は非常に良好です。
私達も良好な視力を保持するためには日々遠方を見るように努める必要があります。
テレビは2~3m離れた位置から見るのが好ましいですよ。
以上鵜の目鷹の目でした。
《いまい》
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