本のお話
2019年09月09日
はだれ雪 葉室麟
江戸城内で、赤穂藩主浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける事件の後
永井勘解由は、浅野内匠頭切腹の直前、『 最後の言葉 』を聞いたと言う
その行いが、綱吉の機嫌を損ね流罪となる。
流罪先の扇野藩で、後家の紗英は永井勘解由の接待役兼監視役を命じられ
生活する間に、赤穂藩士が永井の元へ永井勘解由が聞いたとされる
『 最後の言葉 』を聞こうとやって来る。
永井勘解由は、旧赤穂藩士を追い返すことなく真摯に向き合う。
後世に名を残して華々しく散った赤穂四十七士とは対照的に永井勘解由は
消え残った 『 はだれ雪 』のように、美しくは無いが泥にまみれてでも
生を全うしようとする。
弱さを認め、それでも懸命に生きる永井勘解由は勇気と希望を私達に与えてくれる。
《 フジイ 》
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