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大阪国立国際美術館~バベルの塔展~

2017年07月24日

南千里店

今月18日より大阪中之島にあります国立国際美術館にて開催されている『ブリューゲル「バベルの塔展」』に、開催翌日の19日に足を運んでまいりました。


際美に行くは約5ヶ月ぶりです。(前回はクラーナハ展)
自分が行った展覧会リストを調べてみたら、過去に際美で観た展覧会は上記のクラーナハ展と2013年開催のフランス国立クリュニー中世美術館展、2007年開催のベルギー王立美術館展がありました。
特にベルギー王立美術館展は行った時期が悪かったのか、めちゃくちゃ混雑していた記憶が・・・

今回、前売り券は買ってなかったので当日券を買うことになったのですが、実はまだあまり知られていないお得なチケットがありまして、阪神福島駅の西口改札で、1500円の当日チケット+バベルの塔のオリジナルポストカードのセットチケットが購入できます。
ポストカードを絶対買う!という方はポストカード代150円がお得になりますよ^^
自分は福島駅で購入したのですが、駅改札では19日時点では何の案内も出ておらず、改札の駅員さんに尋ねるとチケットを出してくれましたので福島駅で購入される方は西口改札に案内等が出ていない場合は駅員さんに聞いてみてください。

さて、では際美に向かいますが、この炎天下に阪神福島駅から際美に徒歩で向かうのは少々覚悟が入ります。
道中約800mは強烈な暑さで、途中木陰で休まざるを得ませんでした。


福沢諭吉生誕の地と中津藩蔵屋敷跡の記念碑近くで一旦休憩。ABCホールの前です。

気を取り直してレッツゴー。



国立国際美術館到着です。自分は勝手にここを際美と略しているのですが、もともとこの際美が吹田市の万博記念公園にあったのはご存知でしょうか?
自分は行っていないのですが、ご記憶のある方は当時の万博公園内の際美で40万人の動員があった「世界四大文明 エジプト文明展」へ行かれている方かもしれません。


さて、こちらの際美は主要部分が地下3階に渡る箱物では変わった美術館です。
今回は地下3階の特設ギャラリーにて開催されます。

今回の主題にもあるように、ピーテル・ブリューゲル(父)の最高傑作であるバベルの塔が24年ぶりに来日するとあって、すでに開催の終わった東京でも約38万人の来場者数を記録したことからも期待のほどが伺い知れます。


早速涼しいギャラリーに入って観覧開始です。
ヒエロニムス・ボスとピーテル・ブリューゲルを主軸に、初期ネーデルランド美術に触れる今展覧会。

プロローグでは初期ネーデルランドの彫刻や宗教画などが展示されておりましたが、このあたりは流石によくわかりません^^;

(画像は東京展での展示風景)
彫刻に当時の色が残っているとの解説でしたが、演出なのか必要以上に展示フロアが暗く、スポットが明る過ぎで肝心の淡く残る色彩が色飛びしてしまっていたのが残念です。
しかし、熱心な方は食い入るように聖人たちを模した木像を眺めておりました。


フロアを変えて今度は奇想の画家ボスとその模倣者たちの登場です。
ボスの多くの作品は、16世紀の宗教改革運動の偶像破壊の煽りを受けて焼失、紛失の憂き目に会い、現存する油彩作品は30点ほどで、他でも真贋の見極めが困難な作品も多い。
特にボスは工房を設けて製作しており、工房の出入りの中でボスの模倣が多く出回ってもおかしくはないでしょう。
今回はその貴重な作品の中の2点が来日です。


1点目は「放浪者(行商人)」
元は3連祭壇画として製作されましたが、19世紀に解体され分売されております。
画面中央の行商人らしき男の奇妙な出で立ちに、背景の娼館らしき建物の屋根には花瓶が掲げられ、入り口には男女の姿。
裏で立ち小便をする男や画面のあちらこちらに配された小動物たち。
生あるものが多数登場しているのに何故か全体的に退廃した雰囲気を感じさせる絵です。


2点目は「聖クリストフォロス」
題名のクリストフォロスとは、「キリストを背負うもの」の意。
レプロブスという大男がある日幼い子供を背にして川を渡ろうとした時、あまりの重さに名を尋ねると自らをイエス・キリストだと名乗り、この重さは世界の人々の罪をその身に背負っているからだと明かされ、レプブロスはその重さに耐えついに川を渡り切った時、イエスからの祝福を受けたレプブロスは「クリストフォロス」という名を与えられたというもので、この伝承を元にした場面は多くの画家の対象画となった。

そして、ボスの死後、ボス・リバイバルが起こり、かのブリューゲルもボスに習い模倣の版画を残しています。
ブリューゲルの版画で有名なのは「大きな魚は小さな魚を食う」

タイトルにある諺の寓意画なのですが、諺の意味は「小さな権力は大きな権力にのみこまれる」ということ。
類義語では弱肉強食でしょうか。
よく見ると、絵の左下に「創案者・ヒエロニムス・ボス」との書き添えが・・・。


そして、1フロアをバベルの塔の関連画のためだけに使った、この展覧会の最後を飾るのがバベルの塔です。
今日、ブリューゲルが生涯において描いたバベルの塔と題した絵は3作品の内の2作品が現存しています。
2作目に当たる、現在ウィーン美術史美術館所蔵の大バベル(114x155cm)と、3作目のボイマンス美術館所蔵の小バベル(60x75cm)です。


上の大バベルには左手前にニムロデ王とその従者と見られる一行が絵描がれております。
ノアの子孫であるニムロデ王はバベルの塔の建造主で、己が力を誇示するために神に近づく行為としての高い塔を築き上げますが、その人間の奢りが神の怒りに触れ、人間の言語を分かち混乱させます。
互いの意思疎通が出来なくなった建設従事者がついには仕事を放棄してしまい、バベルは未完の塔となってしまったのです。
ブリューゲルはこの大バベルを描き終えた直後から少バベルの制作に取り組んでいます。
そして5年後、傑作として後世に名を残すこととなる今回来日したバベルの塔が完成します。


少バベルは大バベルの約1/4のサイズにもかかわらず画面内にはなんと1400人もの人物が描かれているとのこと。しかし、肉眼ではなんか豆粒みたいな人がうじゃうじゃいるなーという感じでしか認識できませんでした・・・。

そしてバベルの塔に描かれた建設風景や営み、そこに存在する人々が織りなす数々のドラマが所狭しと散りばめられておりまして、隅から隅までそれらを確認するのにどれだけの時間を要することか・・・
そして、注目したいのが色彩の変化。
焼成された煉瓦を積んでいく過程においての煉瓦の経年変化を巧みな色彩の変化で現しております。


多分、夏休みに入ると混雑するのを見越して開催2日目に行って大正解でした。
せいぜい10人程の人垣が出来ていたぐらいで、数分待つと容易に最前列に行け、本物のバベルの塔を充分すぎるほど堪能できました。しかし、惜しむらくは絵との距離が1.5m程空いていて、細密な描写がキャンバス全体に施されたバベルの塔を鑑賞するのには少々遠かった・・・。
やはりこの絵を鑑賞するのには単眼鏡の持参が必須でしょう。特に会期が進むに連れて入場者の数も増えてきますし、やや後方から単眼鏡で細部を観察したほうがこの絵の鑑賞のしかたとしては正解なのかもしれません。
持ってて忘れた自分・・・不覚><;


最後に、ミュージアムショップにて。


図録にバベルの塔と快楽の園の複製縮小画とバベルの塔のスノードームを買いました。

バベルの塔は必見の価値有りですよ!

最後に、AKIRAで有名な大友克洋さんが描いたINSIDE BABELも展示されております。


《タカダ》

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