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ターナー 風景の詩 展

2018年03月12日

南千里店

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今年に入って初めての展覧会に行って来ました。
今回は、京都文化博物館にて開催されている『ターナー〜風景の詩〜』展です。



ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーは18世紀後半から19世紀にかけてのイギリスの最も有名な画家です。
主に風景を主題とし、卓越した数々の技法で自然の様々な表情を描き出し、まるで観覧者がその場に居合わせているような光と空気感を纏った油彩画、水彩画、精緻な版画などターナーの魅力が存分に味わえる展覧会となっております。

京都文化博物館は旧日本銀行京都支店に開設された平安博物館という私立博物館が前身で、今はこの旧日本銀行京都支店は別館となり、隣に本館を新たに建てそこが会場となっております。





現在京都市美術館は再整備事業により31年度内まで本館は閉館しているので、ここが会場になったのでしょうか・・・。



構成内容は4章プラス版画作品の5章立てで、丁寧な解説と、頻繁に旅をしていたターナーの風景描写の場所を地図上に示された案内図などがなかなか心憎い演出でした。

海洋国家であるイギリスで生まれたターナーは日本人と共通するように自然と海に惹かれていきます。
海に持つ様々な顔とそのパワーを表現することに挑戦したターナーは結果、絶大な人気を得ることとなります。
特に《風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様》はターナー自身が晩年に作品を買い戻そうとして叶わなかったというエピソードが残るほどの素晴らしい作品です。
荒々しい不安定な波間に浮かぶ小舟の上の漁師たちの心的不安が画面上の暗色の海から想像でき、雲間に晴天が覗いている描写は天候の急変を物語っております。



ターナーはこういった海景画を描く際に実際に荒ぶる海に出て海面を観察したと伝えられています。



10センチ四方ほどの大きさに収まるサイズの中に彩色されたヴィニエット(挿絵)シリーズの原画などは、小サイズに情報の密度が凄いので顔をギリギリまで近づけて観させてもらいました。
彼の絵を元に精緻な版画が作られました。


テルニの滝と題された小さい作品ですが、滝の大きさとの比較に崖を渡るヤギの群れが描かれています。
数ミリの大きさで描かれたヤギの緻密さと滝の壮大さに思わず食い入るように魅入ってしまいました。
このテルニの滝、マルモレの滝として現在でもヨーロッパで随一の大きさと落差165mを誇る人工滝なのです。
古代ローマ時代に作り上げられた人工滝って、凄い!

晩年、景観美を山岳に求めたターナーは、アルプスの山々に畏敬の念を抱き数々の山岳画を残しています。
それまでの風景としての山は絵画の対象物とはあまり見られず、どちらかというと通行の邪魔な存在として見られておりました。
中にはフランドル絵画のブリューゲルのような異端な画家が山を描いておりましたが、ごく少数でありました。
そんな山々が連なる雄大な姿にターナーは神聖な気持ちを持ったのかもしれません。


《サン・ゴタール山の峠、悪魔の橋の中央からの眺め、スイス》では、道中の絶壁に囲まれた橋の中央から迫ってくる程のそそり立つ岩肌を迫力ある構図で描いております。景観画ではなく実際に目にした岩肌の角度よりかなり急な角度で描かれているところに、ターナーの山に対する恐怖と壮大さの念が現れているようです。


ほとんどの作品が足元の仕切り金具がない状態で展示されておりましたので、それこそ目と鼻の先でターナーの細密な描写や淡い色彩の変化を楽しむことが出来ます。これは非常にポイントが高いです!


学生時代に画材でよくお世話になった大阪のターナー色彩という有名な画材の会社がありますが、ここの取扱画材も主に水彩系が多いので、日本の水彩画の原点とも言えるウィリアム・ターナーの名前との関連性は全くの無縁ではないのかな?と当時から勝手に思ってたりしておりました。

イギリスは18世紀に入るまでは国内の情勢不安などでなかなか芸術面で独自の優れた人物が輩出されませんでしたが、18世紀以降ゲインズバラやターナーのような美術史に残る偉大な画家が登場して以降はイギリス美術界は活発になっていきました。


ターナー展図録です。


帰りに、伊藤若冲の生家があった錦市場に行きました。


錦市場内の青物問屋に生まれた若冲は、商売に疎く絵にしか興味が無いと思われていましたが、近年では錦市場存続のためにかなりの尽力を惜しまなかった人物像が浮かび上がってきています。
この錦市場は現代まで存続しているのは若冲のおかげなのかもしれません。

《タカダ》

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